奨学生の厳しい実態

激増する「経済的理由」による退学や学費の滞納。

少しさかのぼりますが、1998年9月の調査では、3ケ月以上の授業料滞納者は476人(28校調査)。「経済的困難」を理由とした中途退学も、1997年度55人から、1998年度86人(34校調査)へと急増しました。
1999年度奨学生の家庭状況をみると、「失業・倒産・事業不振」を理由とする場合が、過去と比較し大幅に増え、全体の約3分の1にあたる32.3%に達し、「母子家庭」26.2%、「生計者の病気・事故」15.4%、「低収入」12.3%の理由も高く、「不況」による家庭崩壊の実態が浮きぼりになっています。

2000年に入って以降も、実際に援助を求める生徒はますます増加しています。リーマンショックによる影響はこれまでになく大きく、奨学資金の重要性が改めてクローズアップされています。

奨学金希望者の主な応募理由(2009年度)

2009年度の採用数は145人にのぼりました。応募理由を見ると「事業不振」「経営難」「倒産」「失業」「リストラ」など、相変わらず不況を背景としたものが多くなっています。

不況による収入減 98名
一人親家庭 75名
病気・怪我など 27名
経営不振 13名
リストラによる解雇や転職 12名
倒産 10名
派遣切りなど 2名

奨学生からの言葉

「春、希望に胸ふくらませて念願の高校に入学出来たのも束の間、父の事業が思うようにいかなくなりました。せっかく入学できたのに、やめなくてはいけないのかとショックでした。友達もでき、楽しく、学校へ行きたくて仕方ない頃だったのです。でも学費を払えないのでは学校を辞めなければならないと悩み、どうにもならなくなっていた頃、先生から私学奨学資金財団の話を聞きました。
初めは恥ずかしく、ずいぶん悩みましたが、申し込む決心をしました。おかげで、学費は遅れながらも払っていくことが出来ました。とても苦しかったけれど、二度と繰り返すことが出来ない高校生活を過ごすことが出来て、とても幸せに思っています。今日という日があるのは、奨学金制度があったおかげであると、本当に感諭しています。ありがとうございました」
(高蔵高校卒業生)